近年は国内各地で大型芸術祭が開催され、「地域」は芸術活動の発表の一つの場であるという認識が浸透してきましたが、「地域」が何を指すかについては、人によって解釈がさまざまです。
「旅する地域考」は、全国から公募した受講者、国内外のゲスト・メンター、運営チームがともに秋田県内各地を旅しながら「地域」を問い直す滞在型ワークショップです。みちひらきは共同ディレクションを担い、プログラムの企画運営を担いました。
受講者は、多地域・多分野にわたるフィールドワークおよびレクチャー、そして集中ワークショップを通じて、表現活動の企画者・運営者・実践者として将来に実現したいプラン、その芽生えとなるような「タネ」を探求しました。地域、そして自己に深く潜り見出した「タネ」を開花させるのは当人次第ですが、参加者ごとに可能性の広がりを感じる企画となりました。
当プログラムもまた先述の「AKIBI plus」に続きアートマネジメント人材育成を目的とした事業ですが、地方型アートマネジメントはアートの繋ぎ手としての専門性だけでなく、地域特有のネットワーク・文脈の繋ぎ手としての万能性が求められます。
地域に根差す「土」の人、地域にアイディアや表現のタネをもたらす「風」の人という考え方があります。しかしタネが芽吹くには、それを育てる水が欠かせません。その役割を面白がり、専門的ではなくむしろ複業的に担う「水」の人が、実は地域のあちこちにいる。みちひらきではそのような視点を参加者と共有する機会となりました。
参考記事:
冬の秋田に留まり、巡る旅 ― 秋田県五城目町
https://magazine.air-u.kyoto-art.ac.jp/fushinjo/6578/
「地域」サイコウ、秋田の旅 ― 秋田県秋田市
創業1688年、江戸時代から五城目で酒造りを続け、2021年に333年の節目を迎えた福禄寿酒造。十六代目蔵元・渡邉康衛氏の「節目だからと声高に「らしさ」を強調するよりも、まずは自分たちが振り返る機会にしたい」という意向を受けて、みちひらきでは「五城目の風土を表現する酒造りを目指して、未来に継ぐべき原点を問い直し、蔵のこれまでの歩みを振り返る」展覧会を共同プロデュースしました。
本件は、世界中から学生が集まり、少人数教育、海外留学などを通じて国際教養教育を推進する国際教養大学が秋田県内の企業や地域と連携するラーニングプログラムの一環として実施しました。この授業は、「サステナビリティ学」を専門とする同大学准教授・工藤尚悟氏が担当し、学年・専攻の異なる学生が2泊3日で五城目町をフィールドに演習を行いました。
「チョー濃く!井川しよう!!」は、町民と一緒に町を「濃く(=じっくり)」見て・歩いて・語って、様々な角度から楽しみ、既にある魅力を探るための多世代交流プログラムです。