『サイネンショ―』は東日本大震災をきっかけに京都で始まった、使われなくなった焼き物を陶芸窯で焼き直し(=再燃焼)、新たな魅力を引き出すプロジェクトです。もとの模様が溶け流れたり形が歪むなど、生まれ変わったものたちが“作者のいない展覧会”としてギャラリーに展示されます。
サイネンショ―の活動を始めて10周年となる本展では、玄関や床の間を飾る土産物、自作の記念品など「置物」に焦点を当てました。秋田県内のギャラリー・ゲストハウス・書店などに協力のもと、置物など400点以上を収集。そのなかから選抜したものを京都府京丹後市久美浜町にある穴窯で再燃焼し、最終的に67点を「ものかたり」の展示壁、本棚・床の間など空間全体を活かして展示しました。
展示された作品は、動物や神様をかたどった置物や、他のモノとくっついて傾いた花瓶や徳利、絵柄が溶け出した湯呑みや形が歪んだプレート皿といった食器類など。すべて手に取り鑑賞し、さらに本展では観る側に作品の価値を委ねるべく、購入もできる形式としました。
会期中はサイネンショ―主宰の陶芸家・松井利夫氏、アーティストや研究者を招いてのトークイベントも開催され、サイネンショーには以下のような特徴があることが改めて確認されました。
・創作過程=窯焚き作業に陶芸の未経験者が参加すること
(さらにプロジェクトごとにメンバーが入れ替わること)
・ただ一人の「作品」ではなく、創意工夫が関わる人に委ねられて完成すること
・そのために価値の基準が多様であること
そのうえで、さまざまな人に関わりしろがある「仕組み」、サイネンショーの“作品”を成立させている「要素」、あるいはその「価値」といった側面から今後の可能性について幅広い視点から意見が交わされました。
トークの動画アーカイブはこちら
https://www.youtube.com/@user-dt9jd6he7q
主催:サイネンショープロジェクト、合同会社みちひらき
会場:ものかたり
企画協力:サンタックス(五城目)、ババメベース(五城目)、大龍寺(男鹿)、平山はかり店(能代)、yuzaka(鹿角)、ココラボラトリー(秋田市)、書店ミケーネ(羽後)
「みなくる」は赤ちゃんからお年寄りまで、誰もが利用できる公設のコミュニティ・スペースです。
秋田公立美術大学が、県内4地域と連携し、アートと社会を繋ぐ「アートマネジメント人材」を育成する講座。
「こども芸術の村」プロジェクトは、2011年7月21日にスイスのジュネーブで設立された財団「日本の子供たち」の支援を受けて、東北在住のこどもを対象に京都造形芸術大学が実施した芸術教育支援活動です。