「ものかたり」はブックスペースを併設した展示ギャラリーであり、弊社の活動拠点です。
拠点を置く秋田県五城目町は、かつては秋田と北東北とを結ぶ陸上交通の要所として、また日本列島各地の文化が混ざり合う海上交易の交易圏として朝市が栄え、交流地点としての役割を担いました。
「ものかたり」は、現在も朝市が開かれる町の中心部に位置し、その外観は一見すると町並みに溶け込んでいます。しかし屋内は連なる客間と長い土間からなる長屋の構造を活かして、ゆったりとした空間が広がる一方で、雪害を防ぐ屋根に覆われた雪国ならではの「内蔵(うちぐら)」があります。ギャラリースペースでは異なる文化が入り混じる建築の特徴、余白の感じられる空間を活かした展覧会・ワークショップ・トークイベント等をおこなっています。
地域には、必ずしも同じ価値観を持つ人ばかりが暮らしているわけではありません。だからこそ、枠も垣根も越えて物事を深く見つめられる、あるいは役割や肩書きに縛られずあるがままの自分を表現できるミュージアムのような場所が必要なのではないでしょうか。
分かりやすい「意味」や「価値」がなくとも、訪れた人が自由に考えられる余白によって、それぞれの内面に新しい視点や発想の「タネ」が蒔かれ、やがて芽吹いていく。そのような場を目指しています。
ものかたりHP:
https://mono-katari.jp/
参考記事:
「よく知る故郷にはじめて出会うための装置」― 小熊隆博
https://magazine.air-u.kyoto-art.ac.jp/kaze/5489/
「旅する地域考」は、全国から公募した受講者、国内外のゲスト・メンター、運営チームがともに秋田県内各地を旅しながら「地域」を問い直す滞在型ワークショップです。
創業1688年、江戸時代から五城目で酒造りを続け、2021年に333年の節目を迎えた福禄寿酒造。十六代目蔵元・渡邉康衛氏の「節目だからと声高に「らしさ」を強調するよりも、まずは自分たちが振り返る機会にしたい」という意向を受けて、みちひらきでは「五城目の風土を表現する酒造りを目指して、未来に継ぐべき原点を問い直し、蔵のこれまでの歩みを振り返る」展覧会を共同プロデュースしました。