「こども芸術の村」プロジェクトは、2011年7月21日にスイスのジュネーブで設立された財団「日本の子供たち」の支援を受けて、東北在住のこどもを対象に京都造形芸術大学が実施した芸術教育支援活動です。
2014年から5年間にわたるプログラムを通じて、こどもが震災の影響の少ない土地で心おきなく「あそぶ」、また国内外・多分野の講師とともに、東北の伝統的な手仕事にもふれながら、自由に「つくる」体験を提供しました。
みちひらきでは秋田・福島におけるプログラム企画運営を担い、また2019年度からは活動拠点「村役場」として事業運営に参画しました。
①「明日から木、林、森、山がとても気になる! 木こり体験ワークショップ」
場所:秋田県五城目町
時期:2016年11月13日
内容:
現代では馴染みのない木こりの手仕事(2015年の林業従事者数は約45,000人。1985年当時の約1/3)。「山林で自分で木を伐る体験を通じて、普段目にしている木々や木から生まれたもの(ノートや本、食器、家具、家…)が違って見えるかもしれない」という趣旨のもと、町内の林業に携わる方とともに間伐材の木こり体験、さらに木製品の工房見学を行いました。
②「真坂人形づくりワークショップ」@福島県伊達市
伏見人形(京都)、博多人形(福岡)など国内各地の土人形を研究し、オリジナルの『真坂人形』という作品様式を考案した真坂 歩氏を講師に迎え、福島県伊達市の「りょうぜんこどもの村 遊びと学びのミュージアム」が主催するワークショップイベントに出店参加。用意された人形土台を選び、こけしのように親しみやすい目元と簡潔な造形が特徴の『真坂人形』を参考に、描き方にとらわれず自由に描く「絵付け」体験ワークショップを実施しました。
③「子ども芸術の村5周年 箸置きづくりワークショップ」@宮城県仙台市
プロジェクト5周年の節目となる展覧会『こどもげいじゅつのむら 5周年記念展ースイスからの贈り物ー』にて、「指物」と言われる一点物の建具類を手掛ける小玉順一氏・お盆やコースターなど生活に即した木製容器を手掛ける佐藤友亮氏を講師に迎え、秋田県産の天然秋田杉で箸・箸置きを作るワークショップを開催しました。
箸作りでは、鉋(かんな)削りに挑戦。箸の形が現れたら角を落として仕上げます。また箸置きでは、加工の際に切り落とされた端材を活用。不揃いな木片を、木の手触り・香りを楽しみながら、ヤスリで削りました。シンプルな素材を用いながらも、五感を刺激する要素が盛り沢山の内容でした。
④『東北の庭 Jardin Du Tohoku』
場所:秋田県五城目町
時期:2019年11月22日(金) – 24日(日)
内容:
『東北の庭』は、秋田・東北各地の訪ねる土地を「庭」に見立て、暮らすように体験しながら、東北在住のこどもが秋田はじめ東北各地を転地していく滞在プログラムです。
福島、秋田から集ったこどもたちが生活環境を離れて、土地の自然や文化を体験しながら、のびのびと「つくる」時間を過ごしました。
【1日目】季節を味わう地野菜手料理の夕食会(担当:「269」主宰 神谷恵里、)
【2日目】
午前:茅葺き屋根用の「茅」刈り体験
〈文化の館〉(五城目町内で発掘された縄文土器等を保存・展示する)見学
午後:〈ものかたり〉で制作の時間(子ども担当:真坂人形師・マサカ商店店主 真坂歩/大人担当:「こどもげいじゅつのむら」村長 松井利夫)
夕方:郷土料理「だまこ鍋」調理体験(担当:佐藤木材容器 佐藤レイ)
【3日目】「佐藤木材容器」工房見学・オリジナルコースター作り(担当:「佐藤木材容器」代表 佐藤友亮)
「旅する地域考」は、全国から公募した受講者、国内外のゲスト・メンター、運営チームがともに秋田県内各地を旅しながら「地域」を問い直す滞在型ワークショップです。
創業1688年、江戸時代から五城目で酒造りを続け、2021年に333年の節目を迎えた福禄寿酒造。十六代目蔵元・渡邉康衛氏の「節目だからと声高に「らしさ」を強調するよりも、まずは自分たちが振り返る機会にしたい」という意向を受けて、みちひらきでは「五城目の風土を表現する酒造りを目指して、未来に継ぐべき原点を問い直し、蔵のこれまでの歩みを振り返る」展覧会を共同プロデュースしました。